Column
2023.02.27
建物を新築するときやリフォームする時、オール電化にするのかガスにするのか、どちらを選ぶべきか悩んでしまいます。
単純な比較により判断することは難しく、それぞれにメリットやデメリットがあるため一概に
「どっちがおすすめ」
とは言えません。
しかし、後々にあって失敗だったと後悔したくもありません。
でも良い方法は必ずあります。
どのようなことを考慮して選べばよいのかを住宅メーカー担当者が解説いたします。
本記事は初心者の方でも分かりやすくオール電化とガスに関して、それぞれのメリット・デメリット、コストなどの選ぶ基準のコツを公開していきます。
オール電化とガスを比較するために、まずオール電化とはどのようなサービスなのか、確認していきましょう。
電化とは光や熱、動力といったエネルギーを必要とするものを電力によってまかなうようにすることです。
「生活に電気機器を導入すること」
と言うのが一般的です。
オール電化住宅とは、調理・給湯・空調など生活で必要なエネルギーを全て電力でまかなっている住宅のことを指します。
オール電化住宅のキッチンでは、ガスコンロではなく、電気を使って調理できるIHクッキングヒーターが使われます。
給湯器についても、電気給湯器を使うことになります。
電気給湯器にはヒートポンプ式給湯器のエコキュートと、電気ヒーターによりお湯を沸かす電気温水器があります。
ガス給湯器では、お湯を使うときに沸かしますが、電気給湯器では、あらかじめ電気代が安い時間帯にお湯を沸かしてタンクに貯めておき、タンクから使用します。
お風呂の水の量が多い時は正直、助かります!
オール電化の大きなメリットとして、給湯や暖房に関するコストを抑えることができる点が上げられます。
オール電化向けの電気料金プランでは、夜間電力が安価に設定されているため、先ほどありましたエコキュートの夜間電力を利用した給湯ができます。
また設備によっては給湯した際の熱を床暖房に利用すれば、暖房費を抑えることもできます。
基本使用料の一本化もオール電化のメリットのひとつです。
ガスを使用する住宅では、電気とガスの両方に基本使用料がかかります。
オール電化の住宅では、電気のみのため光熱費を安く抑えることができます。
(サービスによっては電話 代の費用もセットでお得になる場合も)
また、オール電化住宅のキッチンで使用されるIHクッキングヒーターは、ガスコンロと比べて平面的な造りをしています。
そのため、キッチン周りの手入れがしやすく、調理中に飛び散った油や調味料などの掃除が容易になります。オール電化の住宅はキッチンを清潔に保ちやすいといえます。
キッチンがフルフラット希望の場合、見た目がすっきりしますよ。
さらに火を使わないことも大きなメリットとなります。
ガスや灯油を使用する場合と比較しても、火災が発生するリスクを抑えることができます。
ガス漏れや不完全燃焼による事故も無いため、思わぬ火災のリスク低減につながります。
加えて、IHクッキングヒーターではガスが燃焼する際に発生する、匂いや二酸化炭素がありません。
よって、室内の空気を汚しにくいこともメリットとなります。
オール電化住宅では太陽光発電などの自家発電設備があれば、その電力を使用することも可能です。
電気代を抑えられるうえ、停電時でも電気機器を使用できる場合があります。
また、災害などの非常時においてもオール電化住宅ならではのメリットがあります。
ひとつは非常用水があることです。
オール電化住宅の電気給湯器内には、貯水タンクがあります。
災害などにより水道が止まってしまった場合にも、タンク内の水を利用することができます。
飲用水としては利用できませんが、約370Lもの水が生活用水として活用することができます。
加えて、電気・ガス・水道の中でも、電気の復旧が最も早いとされています。
住宅の設備がいち早く利用できるようになることはメリットと言えるでしょう。
もう一つ忘れがちなのですが、ガスや灯油の設置スペースを必要としないためレイアウトがすっきりしますし、火災の心配がなくなります。
その他、一部の損害保険会社では、オール電化住宅を対象にした火災保険の割引プランを利用できる場合があります。
これはオール電化住宅での火災のリスクが低いことが理由です。
オール電化には様々なメリットがあることを確認できました。
では、デメリットはどうでしょうか。
オール電化の料金プランでは、夜間電力を安く利用できるように設定されています。
しかし、日中の電力は割高になっている場合があります。
日中、住宅内の設備を長く利用する可能性がある場合、電気料金の節約が思うようにできない可能性があります。
オール電化の設備は、設置の初期コストが高額なことも考慮しなければなりません。
長期的な利用を考えるとオール電化によって光熱費を抑えられる可能性もありますが、初期コストを含めて考える必要があるでしょう。
調理器具や調理方法に制限があることにも注意が必要です。
IHクッキングヒーターでは、ガスコンロと比較して火力が不十分ということはありませんが、直火であぶるような調理はできず、IHクッキングヒーター対応の調理器具しか使用できないことはデメリットです。
料理に拘りたい場合、自由に調理器具を扱えないことは思った以上のデメリットとなり得るでしょう。
それからオール電化を導入する場合、通常はエコキュートを導入します。
エコキュートは大型であるため、場所を選ばず設置することはできません。
また、エコキュートは屋外に設置する必要がありますが、機械の駆動音が発生してしまいます。
設置場所と近隣住宅との距離などによっては騒音トラブルが発生する可能性もあるため、設置場所も含めて慎重に検討する必要があります。
ただし、エコキュート無しでは安価な夜間電力(深夜電力)の利用といえば食洗器・洗濯機くらいなので、オール電化の大きなメリットが無くなってしまうことも考慮しましょう。
オール電化住宅についてのメリット・デメリットは分かりました。
では、ガスを併用した住宅には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
ガス併用の住宅とは、オール電化ではない住宅のことを指します。
ガス併用住宅では、電気機器とガス機器の両方を利用します。
キッチンのコンロや給湯器はガス、照明や家電は電気という一般的なライフスタイルの住宅を想像すると分かりやすいでしょう。
オール電化と比較した場合のガス併用住宅のメリットは、初期費用が安いことです。
オール電化と違って独自の機器を導入する必要がなく、商品の選択肢も豊富なため、利用者側で節約につながる工夫をすることができます。
都市ガスを使用できる場合、光熱費を大きく抑えることができるのもメリットです。
調理に関しても調理器具を選ばず、直接火を使えるため、調理方法にも制限はありません。
また、オール電化住宅では、シャワーなどの水圧が低いことが殆どですが、ガス併用であれば高水圧のシャワーを使用できます(最低でも2倍は強い)。
さらに電気のみに頼らないため、電気が使えなくなった場合でも住宅内の設備の一部を利用できます。
加えて、今後電気やガスどちらかの料金が高騰した場合でも、利用する比重を変えることで柔軟に対応できます。
ガス併用のデメリットは、災害のリスクを抱えていることです。
ガス自体が可燃性の気体であるため、経年劣化や災害による配管損傷時のガス漏れや火災、不完全燃焼による一酸化炭素中毒などの危険性を抱えています。
火を扱うため着衣着火などの危険性もあり、使用する際には多くのリスクを考慮して適切に使用しなければなりません。
また、使用するガスの種類によってランニングコスト(ガス料金)が高くなってしまうこともデメリットです。
住宅で使われるガスには都市ガスとプロパンガスの2種類がありますが、このうちプロパンガスは自由に料金を設定できるため、都市ガスやオール電化と比較して光熱費が高くなることが少なくありません。
お客さまが引越し、あるいは新しく住む地域によっては、ガスが引かれていない場合があります。
地域の条件や仕組みが都市ガスなのか、プロパンなのかをまず地元の業者に聞きます。
もしくは住宅展示場などで確認していただく事をおすすめします。
必要であれば工事の可能性もあります。
オール電化住宅とガス併用の住宅には、それぞれメリットとデメリットがあります。
実際にどちらかを選択する場合、どのような家庭が適しているか紹介します。
オール電化が多く採用されているのは、暖房期間が短い地域とされています。
例えば、北海道などの寒い地域の場合、エアコンや電気ストーブといった暖房の使用期間が長くなるため、ガス併用と比較しても冬場の光熱費が高くなりがちです。
他に仕事や学校で、昼間の電気利用が少ない家庭や、火を使わず安全に生活を送りたい家庭は、オール電化に適しているでしょう。
ただし、お湯は貯水タンクから利用するため、衛生面も考えなければなりません。
例えば長期間使わずに置かれたタンクのお湯は衛生的とは言い難いでしょう。
長期間家を空けることがある家庭の場合、衛生面を考えて使用前に貯水タンクの水抜きなどを行う必要があります。
都市ガスの配給エリアに住んでいる場合、ガスの併用に適しています。
また、昼間でも電気を多く使う家庭であれば、オール電化の料金プランより費用を抑えられるので、ガス併用の方がお得になりやすいです。
また、直火を使うなど調理や料理にバリエーションが欲しい場合もガス併用が適しています。
いかがだったでしょうか。
住宅メーカーとしての現在のオール電化・ガスの情報をまとめてみました。
基本、電気代が高くなるのは熱を発する冬です。
地域での判断がまず一番分かりやすい判断材料です。
しかしながら、オール電化とガス併用では、住む地域やライフスタイルによってメリット・デメリットが違うため「どちらが良い」と決めることはできません。
例えば単価で考えた場合は都市ガスが安くても、電気の基本料金なども含めて考えるとオール電化と差がないこともあります。
オール電化は夜に電気を多く使う場合にお得になりやすく、また可燃性ガスや火を使わないので安全性が高いです。
ガス併用は停電時でも一部の設備を利用できるなど、生活の様々な面を考慮して選択する必要があります。
他にも再生可能エネルギーとして環境への配慮や省エネ、間取りとの関係、家族の意見など考えるべきことは多岐にわたります。
これらを一人で考えて手続きや契約をしてしまうと、変更も手間ですし、思わぬ見落としをしてしまう場合もあるため、専門家へ相談してみるのも良いでしょう。
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