熊本県では地震以降、平屋を選択される方が増えてきました。
平屋には2階部分の重さがなく、耐震構造を作りやすくなっており、万が一の際の避難も行いやすいことが理由です。
平屋には「広い土地が必要」と思う方も多いのではないでしょうか。
広い土地がなければ建てられない、と諦めてしまうのは勿体ないです。
実際に「平屋には広い土地が必要なのか」を考えてみましょう。
平屋に「広い土地が必要」と考えられているのは、横方向に空間が広がる平屋の性質にあります。
日本における戸建の住宅面積の平均坪数は30~40坪と言われていますが、平屋の場合は30坪程度と、全体の平均からすると少し狭いくらいです。
平屋であることを理由に「広い土地が必要」とは限らないということが分かります。
家づくりや生活において、家は広い方が便利なのは事実といえます。
収納も増えますし、必要な部屋を配置しやすいからです。
しかし、コンパクトな住まいにも様々なメリットがあります。
ここからは、平屋のメリットと小さな住まいのメリットを紹介していきます。
一戸建てで構造が安定しているということは柱の設置が少なく済みます。
その分自由にデザインできる空間が増えるので「間取りの自由度が高く」なります。
階段のスペースを使わなくていいので、収納を増やしたり、リビングを広くしたり、空間を広々と使うことが可能となります。
平屋独特の「大きな屋根」は家の外観を重厚にします。
外観を現代的でおしゃれなデザインに出来るほか、天井を高く作ることで内装のデザインにも拘ることができます。
空間を利用して、吹き抜けや中二階付きを作ることも可能です。
キッチン・寝室・風呂場など必要な設備が全て同じフロアにあるため、生活導線が上下ではなく横方向になります。
足腰に負担もかけにくくバリアフリーにも対応したすいため、老後も生活しやすいといえます。
一般に住宅は、建築基準法で「火気使用室」とされるキッチンに内装制限を受けます。
しかし制限を受けるのは、2階建以上の最上階以外となるため、平屋は制限を受けません。
内容としては、2階建以上の最上階以外は、準不燃材以上の性能が必要となります。
平屋の場合、内装材の選択肢が増えるため、デザインの自由度も高くなります。
また不燃材は価格も高くなるため、コストカットしやすいです。
小さい家の最大のメリットはコストです。
敷地が狭い分、価格を抑えやすいため、無理なく予算計画を立てることができます。
また、住居面積が狭いということは、メンテナンスや維持にかかるコストも削減できるということです。
固定資産税も安くなるため、その分を生活費やお子様の教育費に回すといったこともできます。
小さい家は住空間の無駄を減らせるため、意外と生活しやすい場合が多いです。
生活に必要な部屋と設備をコンパクトにまとめられるため、効率よく導線確保ができ、家事等の負担が少なくなります。
また広い家と比べて、住居内の移動距離が短いため、老後も暮らしやすくなります。
空間を有効に使って部屋の配置を行うなどの工夫が必要となりますが「小さいから住みにくい」というわけではないということです。
広い土地に家を建てる場合、住みたい地域から離れてしまうこともあります。
新築でも土地の広さにこだわらなければ、生活に便利な施設の近辺に住居を構えることも選択肢に入るため、生活の利便性を高くすることができます。
平屋や小さい家にはメリットもありますが、いくつか注意点があることも考える必要があります。
コンパクトな住まいにおいては収納スペースを確保することが難しくなります。
また、限られた空間に効率的に間取り配置するには、専門的な知識やノウハウも必要となります。
そのため、ハウスメーカー選びは慎重に行う必要があります。
コンパクトな住居は、家族構成の変化には対応しにくいことも考えなければなりません。
従って、小さい家の施工実績が豊富な会社や専門家から適切なアドバイスを受けることも重要となります。
平屋の場合、高さがないため、周囲の建物によっては日当たりが悪くなることも考えられます。
また、間取りによっては日当たりが悪い部屋、風通しが悪い部屋ができやすいです。
加えて、大雨などの災害によって床下浸水が起こった場合、家屋全体が浸水してしまう可能性があります。
二階などへの避難もできないため、安心して暮らすためにも地域のハザードマップを事前に確認しておく必要があります。
熊本は他県の相場に比べると比較的土地が手に入りやすい地域です。
熊本県内でも地域によっては
建築面積の制限
高さ制限
日影規制
など様々な制限や規制により、選択肢が少なくなる場合もあります。
そういった場合でも、ハウスメーカーが不動産を探し、条件に合った住宅を提案してくれる場合もあります。この辺りもヒアリングが必要です。
新しい住居の形として「タイニーハウス」というものが広まりつつあります。
日本で注目が集まったのは、震災がきっかけでした。
東日本大震災の後、多くの人がこれまでの暮らしやこれからの生き方を見つめ直し、新たな住まいの選択肢として知られるようになりました。
昨今ではコロナ禍によってライフスタイルの多様化が加速し、更なる注目を集めています。
タイニーハウスには基礎付きのタイプと移動できるタイプがあります。
日本における基礎付きタイプのタイニーハウスは概ね床面積10㎡~25㎡程度の広さと言われています。
このうち10㎡のものは水回り設備のないものが多く、価格は100~300万円ほどです。
水回り設備や断熱性のあるものなどでは500万円以下という価格帯になってきます。
タイニーハウスは
「住宅ローンを組めない」と考えられます。
各金融機関によって対象となる住宅の広さは異なりますが、タイニーハウスの広さでは適用対象外となると考えた方がよさそうです。
ミニマムな暮らしの実現やセカンドライフのための住居として、15~25坪程度の小さな平屋を建てる方も増えています。
一般的なハウスメーカーや工務店の場合、坪単価50~80万円が目安となるため、750万円~2000万円が本体建築費用の目安となります。
デメリット解消のために平屋の間取りで工夫できることがあります。
無駄となりやすい廊下を削減することで、部屋を広くすることができます。
壁を少なくすることでも空間が広がり、多く部屋を配置した場合の手狭な印象を改善できます。
住居をコの字型やL字型にして、中庭を設置することで日当たりや風通しの改善も見込めます。
「広い家は生活がしやすい」と考えるのは難しくありません。
熊本地震後、熊本県で家を建てる場合、構造的に安定した平屋の選択が増えています。
平屋は広い土地がなければ生活しにくいと考えられがちですが、小さい家にも様々なメリットがあります。
平屋のメリットを活かしつつ、小さい家を建てるプランを立てられるかも知れません。
家を建てる想像をした時に
「なぜ家を建てるのか」
その目的を明確にし、今後の生活を送るための理想的な住まいを考えてみましょう。
何にこだわりを持つのか、目的を整理することで考えやすくなります。
モデルハウスを訪れたり、ハウスメーカーに資料請求したり、自分で行動するのも良いでしょう。
より満足度の高い住居を建築するためには、専門家に相談し、意見を聞きながら理想のマイホームを想像することが大切だと思います。
「小さい家は生活がしにくい」と考えるのは、小さい家での生活を想像した後でも遅くないでしょう。